科学隊

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無機高等生物

今まで僕は、人間が<意識>というものを持つことがどうも理解できなかったのだけど、ここにきて新たな見方が浮かんだ。

<意識>を脳の機能から切り離して考えればいいのだ。

わかりやすく説明する。

まず、僕たち人間の五感が受け取る刺激を、「入力」と考える。

次に人間の活動を、プログラム処理の結果による「出力」と考える。

僕たちそのものを一つのプログラム処理機構と考えるのだ。

さて、そうすると人間の活動も、複雑なプログラム処理の結果として捉えることができる。

数学脳の人は、細胞活動を一つの関数だと考え、人間は膨大な関数の合成関数であると考えればいい。

そうするとアンドロイドだって理論上は作れる。

外から見て、人間と全く同じに見える活動(=出力)をする処理機構を作れば、それはアンドロイドと言える。

とまぁここまではよくある話なので簡単だろう。

だが、これだけでは、今、確かに存在しているはずの、僕のこの<意識>というものが説明できない。

こいつの正体がよくわからん。

(デカルト的発想だね)

外から見たら人間と全く同じ活動をするアンドロイドがあったとしても、<意識>が生じているかどうかはわからない。

というか、生じていない気がする。

しかし、ちょっと考え方を変えたら簡単なことだった。

機能として情報処理機構から外部化された「読み取り機」があると考えればいいのだ。

そして脳からの出力の読み取り結果を<意識>と考える。

人間の活動を出力と見なすと言ったが、それとはまた別の「出力」が読み取り機へ向かい、それが読み取られる。その読み取り結果が<意識>である。

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(絵では外部に描いたけど、当然、<意識>を生み出す機構も脳内に組み込まれている)

こう考えたら納得できた。

アンドロイドが<意識>を持つようにするには<意識>の部分となる、読み取り機能をもつ部分を持たせてやればよいのだ。

<意識>もつようになり、自我が芽生えたアンドロイドは、もはや生物と定義するしかない。

無機物でできた高等生物の誕生だ。

続き→意識をめぐる考察