科学隊

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トレーニング知識まとめ③ スターナムチンニング

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Part 29 「スターナム・チンニング編」

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普通のチンニングは上体を垂直のまま、やや胸を反らして挙げて行くのですが、スターナムチンニングでは挙げるに従って、胸を反らすだけではなく、だんだん上体を後傾させて地面と水平に近くなるくらいまでにします。

動きとしては、途中からロウイングをやっているような感じですね。

最初は写真のとおり、アンダーグリップで行ったほうがやりやすいでしょう。

※アンダーグリップ or パラレルグリップで行う場合をチンニング(チンアップ)、オーバーグリップで行う場合をプルアップと呼ぶことになっていますが、ここでは便宜上、すべてチンニングで統一します。

● スターナムチンニングの注意点

まずはトップポジションで胸を張って肩を後ろに引き、肩甲骨を強く寄せるように心がけてください。

そして膝をできるだけ後方に持ってくるようにすると、身体を反らせやすくなります。

このとき、ハムと臀筋を収縮させてください。

そして「肘をできるだけ曲げずに」行うようにします。

肘を曲げるのではなく、プルオーバーのような動作で、肘を後方に持ってくるような意識です。

セットを終了したあとに、二頭筋ではなく三頭筋に刺激が行っているように感じられれば、それはフォームが上手く出来ている証拠だと考えてください。

グリップについては、前述の通りアンダーグリップを基本とします。

肩幅よりやや広めに持ち、小指と薬指の力で握り、人差し指と中指の力は抜いてください。

ボディビルダーはストラップを使っても良いのですが、パフォーマンスアップを目指すアスリートなら、ストラップは使わずに、自分の握力だけで行うようにすべきです。

そして必ず上まで「引ききる」ようにしてください。

中途半端な挙げ方ではなく、しっかり肩甲骨が寄せられるところまで挙げるようにします。

テンポとしては2秒で挙げ、トップで1秒弱収縮させ、3秒で下ろすというのが目安です。

また、当然ながら下ろすときは最後までしっかり下ろすようにします。

ただし肘は完全に伸ばしきらず、ほんの少し曲げた状態に留めて、そこから次のレップに入るようにしましょう。

完全に肘を伸ばしきると、二頭筋の力に頼ってしまいやすくなります。

下ろしながら肩甲骨を広げ、肩を上に挙げるような意識で行ってください。

● なぜスターナムチンニングなのか?

このエクササイズ一つで、上背部の殆どの筋肉を刺激することができます。

加えて上腕の屈筋群も。

ラットプルダウンのマシンでも同様の動作を行うことはできますが、フリーウェイトに比べるとモーターユニットの動員数、スタビライザーへの刺激において、効果としては落ちてしまいます。

また動作中に上半身を反らし、さらにハムと臀筋を収縮させる感覚をつかむことによって、全身的な身体の力の流れを学習させることができます。

ハムと臀筋の収縮が、背中の筋肉をより強く収縮させ、さらに体軸を安定させる感覚を掴めるようになればOKです。

● セット数やレップス数、インターバル

最後になって説明することになるのも申し訳ないのですが、このスターナムチンニングは、残念ながら「初心者にはムリ」です。

普通のチンニングよりも強度が高くなりますので、少なくともチンニングが自重で10回はできるようになってからチャレンジしてください。

よって中級レベル以上のトレーニーに限定された種目です。

テンポは「挙げるときに2秒、トップポジションで1秒静止、3秒かけてゆっくり下ろす」ようにしますが、これで10レップス以上できるようになったら、もう上級者の仲間入りだと考えてOKです。

そうなったら、チェーン付きのウェイトベルトを着用して、腰からダンベルなどをぶら下げて負荷を加えるようにしてください。

さらに上級者は、オーバーグリップやパラレルグリップも試してください。

特にパラレルグリップは手首への負担も少なく、また二頭筋が自然に力を発揮できる角度ですので、もしパラレルグリップでのチンニングができる環境でしたら、ぜひ行っていただきたいバリエーションです。

セット数に関しては、他のエクササイズとの兼ね合いもありますが、2~3セットとします。

4セット以上はオーバーワークに陥りやすくなります。

チンニングはベンチプレスやスクワットなどに比べて記録を伸ばし難いのですが、その一因にオーバーワークが挙げられます。

どうも伸びが悪い、というようなトレーニーは、思い切ってセット数を減らしてください。

インターバルは長めに取ります。

他のエクササイズに比べ、チンニングは後半のセットでレップスが極端に落ちやすく、短いインターバルでは2~3回くらいしかこなせなくなってしまうものです。

中級者は3分、上級者は4分を目安にインターバルを取るようにしてください。

さて、以上をまとめると、

● スターナムチンニングを行う場合のセット数、レップス数、インターバルの目安

・中級者の場合

 回数:6~10回(自重で)

 セット数:2~3セット

 インターバル:3分

 

・上級者の場合

 回数:5~7回(ウェイトを追加する)

 セット数:2~3セット

 インターバル:4分

※状況によってオーバーグリップやパラレルグリップを試す。

 セット毎にグリップを変えるのも良い。

チンニングが10回できるようになった初級トレーニーは、ぜひこの「スターナム・チンニング」に挑戦してみてください。

他のエクササイズでは得られない刺激を得ることができます。

すでにスターナムチンニングが可能な中・上級トレーニーは、このエクササイズでレップスや負荷を漸増させることが、筋肥大やパフォーマンス向上を最短距離で実現させる助けとなるでしょう。目新しいマシンは数多くありますが、昔ながらの「懸垂運動」の効果を再認識していただきたいと思います。

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