記憶喪失の男
まずは→<意識>をめぐる考察へ
■ 記憶を抜かれた男に<意識>はあるか
あるところに、若くてイケメンで俳優で高学歴でサッカーもプロ級で美人で歌手の奥さんがいて、ついには小説家としてデビューまで果たした男がいました。
しかし彼は、そんな恵まれた彼を妬む、デブで醜くて毛深くてワキガの童貞で息の臭い科学者によって誘拐され、記憶を抜かれてしまいました。
そしてさらに、新たな記憶を作れないようにまでされてしまいました。
記憶を失ってしまった彼に<意識>は存在するのだろうか?
「記憶を失ったくらいで<意識>がないだなんて、あんためちゃめちゃやんかそれ」って思うかもしれない。
しかし、ここで言っている記憶喪失はただの記憶喪失ではない。
完全なる記憶喪失。
そのへんに転がってる、どこの馬の骨ともわからん記憶喪失なんかじゃないのだ!
生まれてからの一切の記憶を失ったと考える。
具体的に説明しよう。
例えば、一切の記憶を失った彼がメロンを食べたとする。
彼は、その時感じた刺激が「美味しい」というものかどうかわからない。それどころか、それが「甘い」ということすらわからないはずだ。
もっと言うと、目の前に絶世の美女がヌードで現れても、彼はそれが何なのかわからない。人間の顔とさえ識別できない。何か模様がうごめいている、という程度にしか感じることができないはずだ。
だから彼は美女のヌードを見ても勃起しないだろう。
普通の記憶喪失ならば、彼自分の存在を認識することができるが、「何も知らず」「何も学ばない」彼は、自分の存在を認識することができるのか?
彼に<意識>はあると言えるのだろうか?
ここまで言ったらどうだろう。
ちょっとだけわからなくなってこない??
もし彼に<意識>がないと言うのなら、生まれたばかりの赤ちゃんには<意識>がなく、<意識>は後天的に獲得していくものだ、と言っているに等しいが…
結論から言うと、僕は、記憶を抜かれた彼にも<意識>はあるとみなす。
「認識しようとしてもできない」ということと「認識それ自体をしていない」ということは違うからだ。
今回の例は、周りをうまく認識できないだけで、認識する主体が存在していないというわけではない。
それが何かはわからないだろうが、周りからの刺激を「感じている」ことは確かだ。
だから彼に<意識>は存在している。
しかし、人間の<意識>をつくるのに、記憶というものは大きな役割を果たしているのではないだろうか。
記憶がないというのは、データもなくて、アプリも何もインストールされていないコンピュータみたいなもんだ。
そんなコンピュータは全くの役立たずだ。
それにしても、記憶喪失の男は、美女のヌードを見ても勃起しないのなら、美女にちんこをこねくりまわされても勃起しないのだろうか?
気になるところである。
学習による勃起か、本能による勃起か。
僕たちはマンガの女性キャラクターを見てしばしば興奮する。ちんこビンビンになる。
マンガのキャラクターに現実の女性以上の興奮を得る男だっているだろう。
あれはどうしてだろうか?
学習による勃起なのか。
なんか話がそれてきたので今回はこのへんで。
→勃起の科学へ続く