科学隊

ささやかな科学と哲学のバトンを渡すための情報交換の場所です。

多重人格の男

まずは→<意識>をめぐる考察

■ 一つの体に意識は一つなのか

多重人格って不思議だ。

多重人格とは、一つの身体に、複数の人格、記憶系列が現れることをいう。そしてそれは記憶喪失を伴う。

複数の人格が一つの身体に宿る。

複数の人格…

…人格ってなんだ?

これを<意識>と読み替えちゃダメなのか?

そうするとそもそも、<意識>は一つの身体に一つしか宿らないものなのか、という疑問が浮かぶではないか。

ビリー・ミリガンという男がいる。

彼は24もの人格をもっており、それぞれに特技があり、それぞれの癖を持っていたらしい。

その中には女性の人格や、実際に耳が不自由な人格までいたというから驚きだ。

(現在は人格をコントロールできていて、日常生活に支障はないらしい)

“彼ら”は自分以外の人格のことを他人だと思っていた。

これは、脳は複数の意識を生み出すことができるということではないだろうか。

多重人格は、心の防衛反応によって生まれるという。

幼少時に虐待などの強いトラウマを体験すると、その体験は、思い出したくない記憶として抑圧され、本来の記憶とは別のところに保存さる。

そしてその抑圧された記憶から別の人格が生まれるのだそうだ。

例えば、ビリー・ミリガンは母親に怒られるのが怖くて、耳の不自由な人格を生み出した。

記憶によって別人格が生まれるということは、<意識>をつくるのに記憶が大きな役割を果たしているということを示している。

(もちろん、ここでいう記憶は、知識や思い出などの記憶だけでなく、体の動かし方や、「プライミング」と呼ばれる無意識の記憶も含んでいる)

そしてこれは、記憶を取り去っても<意識>が残る、ということと矛盾しない。

記憶を全て取り去ったら、そこには<意識>の種(これが魂ってやつか)みたいなのが残ってるってイメージ。

種から2本の芽が出てきてもオッケーでしょ。

結局何が言いたいかっていうと、<意識>というのは、記憶や知覚を始めとする、脳の様々な機能が複雑に絡み合って生じるものなのだろう、ということだ。

何か1つで説明がつくってシロモノではない。

ところで、多重人格の治療法としてあるのが「人格を一つに統合する」らしいけど、これってどうなんだろうね。

統合っていっても、スライムみたいに残さず合体するんじゃなくて、消える人格があるわけで。

実話かどうかはわかんないけど、↓の話とか面白かった。

多重人格 … 多重人格者だった恋人の話 …

うーむ。

人間の脳って面白い。

夢の中の男へ続く