科学隊

ささやかな科学と哲学のバトンを渡すための情報交換の場所です。

【転記】今の時代の感覚で、歴史を観てはいけない?

以下、mixiの猫王さんの日記より転記。

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『今の時代の感覚で、歴史を観てはいけない?』

今年、書きたかったけど

なかなか書く機会がなかったことを書きます

某所で戦時中の政治家の評価の話になって

「今の時代の感覚で観ては正確さを欠きます」というコメントがついた

すかさず反論をしたかったけど

他所様のところが荒れるかも知れず、それは忍ないので

自分の所で書くことにしました

よく歴史問題の話になると

今の価値観では間違ったことかも知れないけれど

それで過去を観て、「良い・悪い」と論じてはいけない

そんな意見が、必ず出てきます

最初に結論だけいうと、これは単なる主観でしかありません

主観的観念論という誤った思考に陥っております

ある歴史の時代を、その時代たらしめている条件を無視して

「歴史一般」で、一般論で語るという、間違いをおかしています

そして、日本の戦争の時代を語る場合

「今の価値観・当時の価値観」という前提が、そもそも主観にすぎません

◆時代の区別をしないといけない

人を殺すことは、普遍「的」な、人類社会に対する犯罪行為と言えます

高度に発達した社会が出来上がって以降は

これが犯罪であることは、未来においてもかわりません

地球や人類社会に、何らかの理由による大変動でも起こり

社会が質的に変貌を遂げない限り、それは変わることはありません

人類の原初的な時代

他の部族は食糧の一部であったこともあるでしょう

食糧に困窮した時代

他の部族社会を襲って、食糧を奪ったり人間の肉を食したりしても

それは犯罪とは言えません

このような、食糧の確保が難しい、それの生産性が低いことが

当時の時代の特色です

社会の食糧生産が安定してきて、社会が質的に変化した後

殺人は、犯罪行為へと変貌していくのです

現在のような、安定した食糧供給の出来る次代の価値観で

原初社会の食糧確保のために殺人を

今の価値観で、「悪いことだ」といっても

なんの意味もないですし、歴史の特色を捉えることが出来ておりません

間違いです

◆日本の戦争の時代とは、どのような時代だったのか?

今の時代と、戦争の時代とは

先に述べたような、歴史的な段階の違い、その時代をそうたらしめる特色の違いがあるのでしょうか?

人類の社会を、大きく別けて区別するモノの一つに

「人権」があります

「人権」という概念は、西洋におよそ四百年前に生まれ

それを基本とする国家が生まれたのは、二百数十年前です

日本においては、百数十年前に日本も持ちこまれ

それが社会のかたちとなったのが、60年ちょっと前のことです

先の戦争の時代は、人権思想が生まれ、すでにそれが社会のかたちになっており

国家の主権は、君主から人民に移行している時代だったのです

今の時代のほうが、遥かに高度ですけどね

社会の姿は、質的に同じ歴史区分なのです

当時は帝国主義で、いまとは違う時代だという意見もありますが

それは経済学を学んでいただきたい

帝国主義は、資本主義の一形態です

今日の金融資本が世界経済の根幹をなす時代と、帝国主義のの違いは

ただ、武力で他国の市場を奪うか、金融的手法で、他国の市場を奪うかだけの違いであって

本質的には、力による市場の奪いあいであることに、なんら変わりがありません

経済的にも、質的にはまったく同じ時代なのです

◆当時の価値観って何?

当時は力で物事を解決する時代だったのだ

だから、日本だけでなく、列強が軍事力で侵略をしたとしても

それは時代性というものだ

日本を擁護しようという方は、そんなことを言いますが

コレがただの主観でしかありません

当時あった国際連盟

発足当時の常任理事国は、大日本帝国をはじめ、イギリス、フランス、イタリアの4か国です

これにアメリカやロシアを加え、他にもあるけど

力で世界を分割支配していた列強と呼ばれる国は、僅か数カ国です

韓国併合は、世界の合意をとりつけたものだ

世界に認められたので、なんら悪いことではないのだ

そんな主張をした方が、過去にうちにも現れました

日本による韓国併合を承認した国は

実際には、米、イギリス、ロシアの僅か三ヶ国です

それも、お互いの植民地に不干渉、そこでの利益には口を出さない

そういう相互の約束事でしかありませんでした

世界のほとんどの国は、僅かな列強によって支配されていたのです

「当時は力で物事を解決する時代だったのだ」

「それが当時の価値観だ」

そう言ってみたところで

それは僅か数カ国の、列強の言い分でしかありません

自分たちの行為を正当化しとうとして主張した

泥棒の言い訳みたいなもんです

多くの支配されていた側の人は

力の時代だから仕方ないねと、列強の行為を認めていましたか?

世界中で数多くの、反乱、独立運動がありましたよね

彼らの声を無視して、世界とは列強だけだというような

まさに泥棒の理屈のような

列強のみの価値観

それが、「力の時代だ」ということです

◆まとめ

先の戦争の時代も、今の時代も

歴史区分的には、同じ時代です

時代を別ける物差、経済や社会の在り様をみても

同じです

そういう歴史を定める根本的なところを見ないで

日本を擁護したい、好きな当時の政治家を悪く言いたくない

その思いが、都合良く歴史を見て

一部の事実だけを、さも全体のことであるかのように

拡大解釈をするという、主観主義的観念に陥っております

自分の信じたいことを、信じるのでなく

何かを検証しようとすれば

何かの概念をもってきて、それが正しいいう前提をもとに

思考をしますが

まずは、その前提や定義が本当に正しいのか

そこから始めないと、主観主義、観念に陥って

正しく物事を捉えることが出来なくなります

ちなみに、戦争がなぜ犯罪なのか

それは人権侵害行為であり

その中でも、最大の行為であるからです

このような認識は、人権がかたちになっていた当時は

すでにあったのです

余談ですが

犯罪の根本とは

他者を人と見做さないことです

言い換えるなら、他人の人権を認めないことです

刑法と突き合わせて考えてみてください

すべての犯罪は、すべて辿っていくと

これに辿り突きます

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参照

【転記】韓国併合・合法論を斬る! 第一部 ~日記に現れた合法論者の反論を中心に~

【転記】韓国併合・合法論を斬る! 第二部 ~力を背景にして強制された調印の実態~

【転記】韓国併合・合法論を斬る! 第三部 ~日本は韓国支配で大損をこいた?~